CONCEPT
暮らしの中に溶け込むお墓
SHINOBO(シノボ)は、「暮らしの中に溶け込むお墓」です。岐阜県大垣市の墓石店・石安が、2021年から5年をかけて開発しました。このページでは、なぜ墓石店が手のひらサイズのお墓をつくったのか、名前に込めた意味、設計でこだわったことをお話しします。
きっかけは、1/8 の模型
石安の店には、お墓を建てる方に構造を説明するための 1/8 サイズの模型が置いてあります。この模型を見たお客様から、「これが欲しい」「このくらいの大きさなら持ち運べるし、墓じまいしなくていいのにね」と言われることが、何度も重なりました。

同じころ、墓じまいのご依頼が年々増えていました。「本当は墓じまいをしたくない。さみしいけれど、跡取りがいないから仕方がない」「墓じまいした石で、何かつくれませんか」。そうした声を聞くたびに、お墓の形は変わっても、大切な人を想う気持ちは変わらないのだと感じました。コロナ禍で自宅で手を合わせたいという方が増えたことも重なり、「家の中に置けるお墓、引っ越しても気軽に持ち運べるお墓」をつくろうと決めました。

「SHINOBO」という名前
開発の途中では、「HAKOBO(運べるお墓)」「COHAKA(小さいお墓)」という名前も考えました。けれど最後に残ったのは、お墓の本質は大きさや形ではなく、大切な方を想う気持ち、偲ぶ心だという考えでした。偲ぶお墓、だから SHINOBO。読みは「シノボ」です。
こだわったこと
1. 家の中に置いて、馴染むこと
お墓の形をそのまま小さくして部屋に置くと、どうしても違和感が出ます。SHINOBO は「仏具に見えないこと」を最初から目指しました。一輪挿しやお香立てとして日常使いできる佇まいで、来客のある部屋にも置けます。
2. できるだけ小さく、けれど意味を持たせること
骨壺をどの大きさまで納められるようにするかは、いちばん悩んだところです。大垣では直径 10cm ほどの骨壺が一般的ですが、東京では直径・高さとも 21cm ほどになります。それが納まる大きさを室内に置くのは、重さの面でも大きさの面でも無理がある。そう考えて、遺骨は「一部を納める」ことを前提に、できるだけコンパクトにしました。
そのうえで、お墓参りに必要な 5 つの役割、お花・お線香・ろうそく・お水・形見(遺骨)を、5 つのエレメントにひとつずつ持たせました。単なる石の置物ではなく、お墓として意味のあるものにするためです。
3. 60mm 角の精度
試作では 50mm 角も作りました。墓石の加工では 1〜2mm の寸法差は普通に許容されますが、手のひらサイズの製品ではその差が目立ちます。石材用の加工機械は細かな加工に向いていないため、機械のクセを読み、加工の順序を変え、あらゆる方法で精度を上げる試作を繰り返しました。どうしても加工できない形状は、デザイナーと相談して形を変えてもらったこともあります。最初の試作から約 5 年。ようやく、自信を持ってお届けできるものになりました。
cube と gorin
cube は、5 つのエレメントを自由に組み合わせられるモジュラーデザインです。5 つセットを基本としながら、暮らしに合わせて 1 つからお使いいただけます。石材も用途ごとに 5 種から選べます。

gorin は、平安時代から続く伝統的なお墓「五輪塔」をモチーフにしました。五輪塔は本来、空・風・火・水・地を表す 5 つの部材でできています。SHINOBO gorin は、その 5 つを花立て・香立て・火立て・水受け・形見入れの 5 つのエレメントとして重ね直したものです。縦に 5 つ重ねても美しく見えるよう、形と石材のバランスにこだわりました。伝統的なお墓の形を受け継ぎたい方に。5 点セットでのご提供です。



ひとつずつ、手で仕上げる
熟練の職人であっても、この大きさで寸法精度を出すのは容易ではありません。石の切り出しから研磨、検品まで、1 個あたり約 4 時間。研磨は、ざらざらの石を鏡のように磨き上げるまで 8 工程(石種によって前後します)あり、ひとつでも手を抜くときれいなツヤが出ません。丁寧に、時間をかけて、じっくりと磨きます。
石安のこと
石安は 1883 年(明治 16 年)、岐阜県大垣市赤坂町で創業しました。この地は建築石材の一大産地で、日本一の規模の建築石材工場もあります。周りに建築石材の工場が多いなかで、石安は建築ではなく「大切なご先祖様をお祀りするお墓」にこだわり、140 年あまり墓石をつくり続けてきました。
SHINOBO をつくるとき、社内でも「これはお墓なのか、お墓ではないのか」という話が出ました。答えを決めたのは、墓じまいのお客様の声でした。お墓の形が変わっても、創業のときから大切にしてきた「ご先祖様を大切に思う心」「故人を想い偲ぶ気持ち」を、これからも大切にしていきたい。SHINOBO は、その気持ちの、今の時代の形です。